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旧くぼたや日記(はてなD終了のため移転)+盛岡思考遊戯倶楽部のブログ

「うんすんかるた」をトランプで。(2)

「うんすんかるた」をトランプでプレイしてみようという試み。本題です。


まず、そのまま「【江戸うんすん】安永ルール」をトランプに移植してみましょう。

  • 使用する札

「うんすんかるた」では15ランク×5スートの75枚であるが「トランプ」では13ランク×4スートの52枚である(ジョーカーは入れない)。これで頑張る。

  • スート

トランプの「クラブ」「スペード」「ダイヤ」「ハート」はそれぞれうんすんかるたの「パオ(花)」「イス(剣)」「オウル(おふる)」「コツ(こつふ)」に対応します。うんすんかるたの「グル」は日本で作られたスートなのでトランプにはありません。
うんすんかるたの図柄を見てもらうとわかりますが「パオ」「イス」のスートは「長物」と呼ばれトランプでは「黒(色)」のスート、「オウル」「コツ」(「グル」)は「丸物」と呼ばれトランプでは「赤(色)」のスートに丁度対応しているところに共通の祖先のDNAを感じることが出来ます。

  • ランク

「江戸うんすん」の札の序列は「うん」>「すん」>「そうた」>「ろはい」>「こし」>「馬」>「ぐしゃ(数札)」の順である。人吉のものは「すん」>「うん」なので「うん」「すん」が逆になっています。
「ろはい」は「龍」でトランプの1(A)に相当します。昔は「1」が龍の絵札であったのが現在のトランプでも「1(A)」が強いというルールが多いことに繋がっているのではないでしょうか
伝統に従ってトランプでも「ろはい(1(A))」を4番目に強いランクに置きたいところですが、かえって判りにくいと思いますので札の強さの順は「1(A)」が一番強い、今のスタンダードな「A>K>Q>J>数札」にしたいと思います。
「ぐじゃ(数)」札についてですが「うんすんかるた」では「長物」は“数の多いほう”が強く、「丸物」では“数の少ないほう”が強いです。トランプでもこれに倣い「黒スート(クラブ、スペード)」は“数の多いほう”が強く、「赤スート(ダイヤ、ハート)」は“数の少ないほう”が強くとしたいところですが、判りにくくなりそうなので今のトランプのスタンダードなルールに倣い全てのスートで“数の多いほう”が強いということにしたいと思います。こうして伝統というものはどんどん失われていくものなのですね‥。
まとめますと、“全てのスートで”札のランクは
「A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2」となります。
わかりやすいですね。

  • 切り札(起き絵)

「江戸うんすん」のルールでは配り始める前に最初の一枚を表にして起き絵を決めます。配る前の一番上のカードを表にして、その札のスートが今回の切り札(利物)のスートになります。選択ルールとしてめくられた札が絵札(頭付き)であった場合、札を切り直して再度めくり直すというルールもあるようです。この選択ルールを採用しない場合にはカードを配り終わったあと残った札の一番上のめくるという方法でも良いでしょう。

  • カード(札)の配り方(蒔き方)

「江戸うんすん」はトリックティキングゲームの個人戦です。個人個人が個(トリック)を何個取れたかを競います。うんすんかるたでプレイする場合には札は一度に複数枚づつ配りますが、トランプでプレイする場合には普通に1枚づつ配るのでいいでしょう。

    • 3人プレイの場合には1人に16枚づつ配り4枚残り(内1枚は切り札表示札)。
    • 4人プレイの場合には1人に12枚づつ配り4枚残り(内1枚は切り札表示札)。
    • 5人プレイの場合には1人に10枚づつ配り2枚残り(内1枚は切り札表示札)。

とします。配る順やプレイする順は時計周りとなります。
#トランプで遊ぶから“時計回り”にしたのではありません。何と「うんすんかるた」は日本の伝統ゲームの多くが“反時計回り”であるのに対し元から“時計回り”でプレイされていたのです。

  • ラストプレイヤー(最初の取り番)

「江戸うんすん」では「テンカ(パオ(花)のろはい)」を持っている人が「テンカ」と言って最初の取り番になります。トランプでプレイする場合には「テンカ」は「クラブのA(1)」に相当するのですが、ランクを決めるところで「A(1)」は一番強い札に変えてしまいましたので、4番目に強いランクの「J(11)」を「A(1)」の代わりにすると良いでしょう。トランプゲームのナポレオンやスカートなどでも「J」が特別な札の扱いをするゲームがありますが4番目に強いランクの札が「テンカ」と「J」であるという点でここでも繋がりのある何かを感じることができます。ここでは「クラブのJ」を持っている人が「テンカ」(テンカではないですが)と宣言し最初の取り番になるのが良いでしょう。「クラブのJ」を誰も持っていない場合(切り札の表示札になっている(きっかぶった)場合や配られなかったカードに入っている(寝た)場合)はカードを配った人が最初の取り番になります。
また、ここでは「江戸うんすん」独特の取り番のプレイヤーが「ラストプレイヤー」であることにも注目してください。

  • プレイの方法(打ち方)

最初のトリック(個)ではラストプレイヤー(取り番)の左隣のプレイヤーから順に1枚づつ任意のカードを場に出していきます。スートをフォローする義務(マストフォロー)はなくいつでも好きな札を出すことができます。最後にラストプレイヤー(取り番)が札を出します。

  • トリック(個)の勝負の決め方

「江戸うんすん」では札のスートは「パオ」「コツ」などいったそれぞれのスート(紋)がそのままスートになるわけではなく「長物」「丸物」「利物」といったグループが一つのスートになります。
「利物」のスートは3つ目のスートになり元々属していた「長物」「丸物」とは別のスートになります。これをトランプの場合に当てはまると、「切り札のスート」「赤のスート」「黒のスート」となり切り札と同じ色のスートは一つのスートでその色のスートとなります。
「江戸うんすん」では勝負となるスートをスタートプレイヤーがリードする札のスートで決めるのではなくラストプレイヤー(取り番)が勝負となるスートを最後に決めるところが独特なところです。
最後に取り番が既に場に出ているスートを場に出せば(フォローできれば)そのスートの札のランクの強弱で勝負を決めます。同じランク(強さ)の札の場合は先に出した札が勝ちます。取り番より先に出された札が全て単一のスートで取り番プレイヤーがそのスートをフォローできない場合は、取り番は負けになり、取り番以外のプレイヤーの札を比較して勝負を決めます。

  • 切り札(利物)のプレイ

誰かが「切り札(利物)」をプレイした場合、そのトリック(個)はラストプレイヤー(取り番)の出した札のスートに関わらず「切り札(利物)」を出したプレイヤーでの勝負になります。
特に「切り札(利物)」の「絵札(A,K、Q,J)(頭付き)」は裏にして出し(「差し」)勝負することとなります。

  • ゲームの進め方

トリックに勝ったら、カードは表のまま勝った札を一番上に表にして重ねて勝ったプレイヤーの前におき、トリック(個)を取ったことを示します。前のトリック(個)に勝ったプレイヤーが次のトリック(個)のスタートプレイヤー(打ち出し)となりその右隣のプレイヤーがこのトリック(個)のラストプレイヤー(取り番)になります。
こうして、全てのトリック(個)を行い一番多くのトリック(個)を獲得したプレイヤーがそのゲームの勝利者となります。

「切り札(利物)」を出すときには「絵札(A,K、Q,J)(頭付き)」だけではなく全ての「切り札(利物)」を裏にして出すようにしてもいいかもしれませんね。


ここまでが「【江戸うんすん】安永ルール」の原型をトランプにアレンジしてみたルールです。
それでは「4人メリ」ルール(3)につづきます。