くぼたやブログ@はてな

旧くぼたや日記(はてなD終了のため移転)+盛岡思考遊戯倶楽部のブログ

ジャパニーズ・ルー

5枚でプレイするルーのルールが見当たらなかったので、創作者の草場純さんの
書き下ろされたルールを発掘してきてそのままご紹介します。
#3枚でダミーのありのルールはこちら2006-02-16 - biscoの地雷備忘録

ルーは、フランスの子守歌に出てくるランタルーという歌詞を縮めたもので、愚か者というような意味であるらしい。
古い伝統のあるギャンブルゲームで、自分がチップを稼ぐこともさることながら、人をルーに追い込むのが楽しい興味深いゲームである。
以下のルールは、私が本来のルーからカードチェンジ、手役などのルールを取り除き、八八の降り賃のルールを加えて作ったものであるが、
降り賃とルーのペナルティーがよいバランスを得て、とても面白いゲームに仕上がったと思う。
もしバリエーションとしての名称が欲しく、またプレーヤーの賛同が得られたのなら、ジャパニーズ・ルーとでも名付けたらよいだろう。


1.人数
3〜10人。6人以上が望ましい。


2.カード
普通のトランプ52枚。ジョーカーは使わない。


3.チップ
100点持ち。例えば、一人白チップ(1点)15枚、赤チップ(5点)3枚、青チップ(10点)7枚。


4.ディーラー決め
適当に。ディーラーは1ディールごとに時計回りに交替し、全員同じ回数務めるようにする。


5.ランク
カードの強さは、普通のもの、つまりAが最強で、以下K,Q,J,10,9,8,・・・・,3,2の2が最弱である。


6.ディール
ディーラーはまず5チップをポットに出す。これをアンティとも言う。
他のプレーヤーはとりあえずチップは払わない。次にカードを1枚ずつ時計回りに各自5枚になるように配る。
その後、残ったカードの一番上を開いて全員に見えるようにする。
このカードを含めて残りのカードはその回では使わないが、この表になったカードのスートが今回の切り札である。


7.出降り
次にディーラーの左隣りから初めて、一人一人順に今回のゲームに参加するかしないかを、手札をよく見て考え宣言していく。
「出る」と言えばそのままゲームには参加の状態になる。
「降りる」と宣言したプレーヤーは、ポットに5チップを払い手札を伏せたまま捨ててそのディールは見ているだけになる。
ディーラー以外全員が降りればポットはディーラーのものになる。
ディーラー以外に一人だけ出ていてディーラーが降りれば、ポットはそのただ一人出た人のものになる。
二人以上出ると宣言したプレーヤーがいれば、彼らの間でカードプレーを始める。


8.プレー
ディーラーの左隣りが最初にリードをする。ディーラーの左隣りが降りている場合は、その左隣りで降りていない最初のプレーヤーがリードをする。
リードというのは手札から1枚好きなカードを出すことで、以下時計回りにそのカードのスートと同じスート(ハートならハート)を1巡出していく。
もし同じスートのカードを持っていないならば、その場合に限り、他のスートのカードを出す。
こうして出ているプレーヤー全員が1枚ずつカードを出した1巡を1トリックと表現する。
トリックに使用したカードは捨て去ってもう使わない。あるトリックが終わるとその勝者が決定する。
勝者は、切り札が出ていれば(5.の「ランク」で示した)最も強い切り札を出したプレーヤーであり、
もし切り札が出ていなければリードされたスートのカードの中で最も強いカードを出したプレーヤーである。
トリックの勝者はポットに出ているチップの5分の1を手に入れる。(ポットに15チップあれば3チップ。
つまりこのディールでは1トリックは3チップの価値があることになる。
もっとも後述するルーのことを考えると1トリックの価値はもっと高いとも言えるが)
5トリック終了後ポットのチップはなくなるはずである。このとき1トリックも勝てなかったプレーヤーは「ルー」と呼ばれ、
ペナルティーとして10チップを、次のディールのポットに支払う。その後今のディーラーの左隣りがポットに5チップ入れ、
次の手札を配るディーラーとなる。
つまり前回二人がルーで、今回三人降りれば、ポットは40チップになり、1トリックの価値は8チップ!ということになる。


9.終了
あらかじめ決めておいた回数(例えば2周というように)、全員がディーラーを務めたら、ゲームは終了する。
最後のディールにルーが出た場合に限り、ディーラーを左隣りにかえて(つまり最初のディーラーが)延長ディールを1度だけする。
このディールではディーラーは5チップをポットに出さない。このディールには出降りはなく、ルーのペナルティーもない。


10.3〜4人の場合
手札3枚、ディーラーのアンティ3チップ、ルーのペナルティ−6チップ、1トリック取るごとにポットの3分の1を取るルールのほうが面白いと思う。


11.5人の場合
5人でも3カードルーがいいかも知れない。また5人の場合に限り、アンティをディーラーでなく全員が1チップずつ出すという方法でもできる。
この方が途中でやめるときはやりやすい。


12.プレーノート
まず全く弱い絶望的な手では降りるとができるのが、このゲームの長所の一つと言えよう。
次に絶望的なほどではない弱い手で出ることは、意外な利益と確実なスリルをもたらしてくれるだろう。
降り賃はルーペナルティーの実に半分に達するので、降りてばかりがじり貧をもたらすことはやってみれば明らかである。
一方非常に強い手で切り札を強い順に出していく(これを叩くと表現する)ときの他のプレーヤーのパニックは、
公にはできないがループレーヤーの密かな楽しみとなるだろう。
既に1トリック得て、ルーを免れたプレーヤーが、もう1トリック取って利益を増やす試みは全く正当なことだが、
可能ならそれよりも一人でもルーを増やす方が利益はともかく楽しみは大きいかも知れない。
例えばマスタートランプは既に勝っているプレーヤーが勝ちそうなときには用いず、
まさにルーを免れようとするプレーヤーの希望を打ち砕くために用いた方が面白いかも知れない。
そのペナルティーはしかしただ取られる訳ではなく、次のトリックの懸賞金になるのだから存外友情にヒビの入ることもないと思われる。
ルーはすごく面白いゲームとは言えないが、人数が多めのときに気楽に楽しめるギャンブル系トリックテーキングゲームとしては佳作の部類に入ると思う。
もっともトリックテーキングの嫌いな人にはあまり向かないとは思うが。

ルーのルールはこちらの本にも掲載されています。

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